今月読んだ本
今月(2023-04)読んだ本は5冊。
何度も読み返した『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』のもう一つの物語が読めて嬉しい。
『海辺のカフカ』『ノルウェイの森』などの作品の一部も感じることができ村上春樹ワールドを探りながら読めるので読書体験として良い。
批評で書かれていることだが村上春樹が老いを描けないという問題はたしかにそうだなとと思う。
物語の結末について
本来は別に結末があり、それを編集や改稿などで不要とし削ったような気がしてならない。『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』で描写されていたジャンクション1からジャンクション2への切り替わり、その逆、の心境の描写がない。
その先を想像したい人、想像するべきとする人もいるが自分はその先まで読みたいと思った。
そのように街の一日が終わる。日々が過ぎ去り、季節は移る。しかし日々や季節はあくまで仮初めのものだ。街の本来の時間は別のところにある.
なぜ私はここにいるのだろう、なぜ私はあちらにいないのだろう……。と。
「資格というのは、ああ、いささか場違いな言葉遣いかもしれませんね。なんと言いますか、いかにも形式張った言い方です。しかしながらそれ以外の適切な表現を、わたくしはうまく思いつくことができんのです。最初にあなたにお目にかかったときから、わたくしにはそれがはっきりとわかりました。この人はわたくしの言わんとすることを、また言わなくてはならんことを、正しく呑み込んで、理解してくださる方だと。そういう資格を有しておられる方だと」
だから、認知症の人間と暮らしていると、日常に限りなく謎が増えてゆく。 疑問は解消されないし、納得もないし、約束もすぐにひっくり返る。今ここだけがあって、今ここで共有されないものは、永遠に明らかにならない。そういう状況に適応するしかないのだ。すこしやさしい、謎だらけの世界で、 彼らはもう何を達成することもなく、いつか来る終わりまでのときを過ごす。