今月読んだ本
今月(2022-05)読んだ本は11冊。
春のこわいもの Kindle版
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金を出す人間が口を出すのは常識で、それがわからないならそれこそ問題だし、いいとこ取りが往々にしてうまくいかないのは当然だ。
見砂の真っ白な顔が目の前に現れ、わたしは瞬きもせずにそれを見た。見の肌はいつまでも白く、わたしは痛みを感じるほど見ひらいた目の中で、反射的に陶器のポットを思い出した。それはわたしと見砂が深夜によく行っていたファミレスの飲み放題の卓上の小さな白いポットで、表面には無数の傷がついているけれど、そこにいる誰一人としてそれを気にする者はいないし、そもそも彼らにはそれが、重いのか軽いのかもわからない、中に何がどれくらい入っているのかも、冷たいのか熱いのか何もかもが不透明で、わかるのはただそれが白いというだけのポット。
私は共感を良いことだとは思わない。ブルームは冗談を言っているのではない。彼によると共感は世界を照らす情け深い太陽ではない。
中略
より良い世界はより多くの共感から始まるわけではないということだ。むしろ共感は私たちの寛大さを損なう。なぜなら犠牲者に共感するほど敵をひとまとめに敵と見なすようになるから。ただ選ばれた少数に明るいスポットライトを当てることで、私たちは敵の失点に立つことができなくなる。少数を注視すると、その他大勢は視野に入らなくなる。
誰かがあなたを欺こうとしている。数少ないケースでは、あなたの日相補的行動が相手を変える可能性が高い。しかし、それでも騙された場合はどう考えれば良いのだろう。
中略
時々は騙されるという事実を受け入れた方がはるかに良いと彼女はいう。なぜならそれは他人を信じるという人生の贅沢を味わうための小さな代償だからだ。
Written on May 31, 2022