今月読んだ本
今月(2021-08)読んだ本は5冊。
NHK 100分 de 名著 カール・マルクス『資本論』 2021年1月 (NHK100分de名著) ムック – 2020/12/25
どのように働くかを決めるのも、その労働が生み出す価値を手にするのも資本家。労働の現場には、自由で平等な関係は存在しないのです。
そのことがわかっていても、あらゆるものが商品化された社会では、生きるために必要なものを買うよう迫られ、労働者は自らの自由を「自発的に」手放さないといけない。そこに実質的な選択肢はありません。だから、マルクスは現代の労働者の置かれた状況を奴隷制に喩えたのです。
「経営者の目線で」という言説は、あたかも経営者のように構想させてくれるかのように聞こえますが、実態はそうではありません。経営者や管理職が「構想」した理念やマニュアルに従ってーつまり、彼らの目標や移行を徹底的に内在化させて「実行」せよ、ということです。
本来、構想とは、自分で自由に考え、判断する能力を意味します。だから、裁量を与えられないままに傾斜目線で働くのであれば、現代の労働者は依然として「実行」しているだけで、「構想」からは分離されている。
イノベーションの停滞の一員が、行き過ぎた構想と実行の分離であり、過度の分業なのです。現実の生産者や利用者がかけ離れたところで、資本主義の商品開発のペースに合わせて、無理やり知恵を絞り出す行為を繰り返していても、次第にアイデアは枯渇し、小手先の変化ばかりになってしまう。そして、それを正当化し、あたかも大発明家のように宣伝するために、大量のブルシット・ジョブが量産されているのです。
Written on August 31, 2021