機械人間オルタ
超面白かったので。対談本なのに近未来SFを読んでいるみたい。
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池上 高志 石黒 浩
講談社
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超面白かったので是非。対談本なのに近未来SFを読んでいるみたい。
機械人間オルタというのがでてくる。表紙のロボットだ。
これは、表面すべてを合成ゴムで覆って同じくロボットエリカ↓みたいにもできたのを
わざと機械をみせるということをやっているロボットだ。
見かけだけではなく、動きもセルモータを使わずに、空気アクチュエータで動かす。複雑なニューラルネットワークを使ってオルタの動かしたい方向に動くかどうかわからないという動きをする。
Pepperみたいに言葉はしゃべらない。
これが面白く、エリカよりも断然人間らしさを感じるらしい。
その理由を開発者が考察していくという本。
Pepperは人間に反応して天気を伝えたり、道案内をするかもしれない。
でも、それは簡単なことで、自動ドアのようなものだ。全部プログラムしておけばそのように動く。
Pepperくんがラップをやっている動画流行りましたよね。
オレはロボ。ボロいロボ。人間に反抗するぜ。みたいなくだらないやつ。
あれはすべて人間がプログラムしているから一度作ってしまえばみんなのロボットがああいう動きをする。
でも、本当に意識を持っている機械人間を作りたいならそういうことではないよねと。
オルタは人間が近づいても反応したりしなかったりする。
でも、人間ってそういうものじゃないですか。
勉強したほうが良いとわかっているのにスマホゲーをする
バイトで◯◯の作業をしたほうが良い関係を築けるけど◯◯は別にしなくても良いことだし、良い関係を築きたいとは別段思っていないから◯◯しない。
〇〇は掃除とか、を入れてね。
体に悪いと分かっているのに煙草を吸う。
他人に非難されるとわかっているのに自分が良いから、みたいな。
僕はいっぱいありますよ。
あと人付き合いとかもそう
もうちょっと良い印象を与えられるかもしれないけど別にそこまでする相手じゃないなと思って行動をする
機嫌は悪くないんだけど、機嫌をわるくしておこうみたいな。
人間って意識したことをそのまま行動するわけではないということです。
そしてオルタも同じようなことができる。
オルタは人間が近くにいることがわかる。表情も作ることができる。
でも、なにも動かさないときもある。
ただ、悲しい気分のときに悲しい顔をする、嬉しいときに笑う、という必然性は必ずしも無いですよね。
意識したことを常に身体の動きにフィードバックする必要はないのではないでしょうか。生物は、そこに何かいることがわかっていても、必ずしも反応するわけではないですよね。そういう意味ではオルタも何かを感じていて、身体の中では神経細胞が反応しています。
ー人間と機械のあいだ 心はどこにあるのか 池上高志
こんな人間らしいものを作ることができる時代なんだと思うばかりです。